東京大学 東洋文化研究所 佐藤仁研究室

SATO Jin Lab.

Institute for Advanced Studies on Asia, University of Tokyo

外部資金

Funded Projects

「研究生活は他の生活と比べて楽しいということはありませんが、少なくとも退屈することはありません」
(レヴィ・ストロース『遠近の回想』)

実施中のプロジェクト

アジア・アフリカの開発学ー日本の開発協力経験に基づくフィールドからの体系化

科学研究費助成事業

研究課題/領域番号 20H04399
研究種目 基盤研究(B)
審査区分 小区分80010:地域研究関連
研究機関 東京大学
研究代表者 佐藤 仁 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50313010)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
研究課題ステータス 交付 (2020年度)
研究開始時の
研究の概要
日本の政府開発援助(以下, ODA)は, 半世紀を超える歴史をもつ。本研究ではODAの歴史的変転をアジア・アフリカでのフィールドワークを通じて知財化することを目指す。特に従来の日本のODAの主な受け手であったアジア諸国における「人づくり」の経験と, 新たな援助対象であるアフリカ地域を調査対象に, 政府間だけでなく, 政府と民間企業, 地域住民の相互関係に注目した「ODAの質」の解明に挑む。また, 研究成果を政策に活用するために国際協力機構(JICA)と密に協力し, 開発協力経験に内在する日本的な「実践知」を浮き彫りにしながら, 欧米とは一線を画した「アジア・アフリカの開発学」を展望する。

終了済みのプロジェクト

天然資源の持続的管理における中間集団の機能と可能性―東南アジアの比較事例研究(2020~2021年度)

旭硝子財団研究助成

人文・社会科学分野<発展研究>

Coastal Reslience for Climate Change

東大ープリンストン共同教育研究プロジェクト

ODA失敗案件の「その後」にみる開発援助事業の長期的評価―競争史観から相互依存史観へ―

トヨタ財団研究助成

研究期間 (年度) 2017-18年度
助成金額 160万円
主要な研究成果 佐藤仁『開発協力のつくられ方ー自立と依存の生態史』(東京大学出版会、2021年)
実施報告書 toyotafound.force.com/psearch/JoseiDetail

ODA失敗案件と相互依存に関する歴史・政策的研究

サントリー文化財団研究助成

研究期間 (年度) 2018年度
助成金額 100万円
主要な研究成果 佐藤仁『開発協力のつくられ方ー自立と依存の生態史』(東京大学出版会、2021年)
実施報告書 www.suntory.co.jp/sfnd/research/detail/2018_116.html

東南アジアの資源をめぐる国家・社会関係に関する比較研究

科学研究費助成事業

研究課題/領域番号 25301008
研究種目 基盤研究(B)
研究分野 地域研究
研究機関 東京大学
研究代表者 佐藤 仁 東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (50313010)
研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
研究課題ステータス 完了 (2015年度)
研究開始時の
研究の概要
東南アジアをフィールドとして、天然資源をめぐる国家と社会の関係を理論的に考察し、その成果を英文雑誌論文や書籍の形でまとめた。具体的には、カンボジアでの漁業政治、プリンストン大学におけるミャンマーとフィリピンに関する灌漑の文献調査を行い、成果の一部をシェフィ―ルド大学(2015年5月)、およびヨーロッパ東南アジア学会(2015年8月)、さらに東南アジア国際学会(2015年12月)の場で報告する機会を得た。論文としては、学術雑誌 Comparative Studies of Society and History に掲載され、日本語では岩波書店から共著『日本のコモンズ思想』に1章を書いた。

日本の被援助・開発経験の相互作用的研究 : 1950年代を中心に

科学研究費助成事業

研究課題/領域番号 21200045
研究種目 新学術領域研究(研究課題提案型)
研究分野

地域研究、国際関係論

研究機関 東京大学
研究代表者 佐藤 仁 東京大学, 東洋文化研究所, 准教授 (50313010)
研究期間 (年度) 2009 – 2011
研究課題ステータス 完了 (2011年度)
研究開始時の
研究の概要
政府開発援助(ODA)の継続的減額に伴い、国際開発の世界における日本のプレゼンスは低下しつつある。日本の国際貢献のビジョンを明確に定める必要がある中、かつて日本が途上国であった頃に先進国や国際機関はどのような対日援助政策を進め、また、援助を受ける側であった日本はどのようにそれを受けていたのかという原点に立ち返ることは有益である。日本が「援助される側」として蓄積した経験を、「援助する側」として如何に活用したかを精査することで、援助国としての日本が有する独自の観点の由来と妥当性を明らかにすることが出来る。
従来、国際開発の分野における「日本の経験に関する研究では、1960年代以降の経済成長に関係する経済政策、特に教育・人材政策や産業政策に議論が偏っていた。そこには1945年から1960年代にかけての被援助国時代の日本の慎重な検討が欠落していた。米国による対日援助や朝鮮特需、賠償問題などの影響に関する近現代史の考察の多くも1950年代前後の出来事をその後の経済成長の前史として、あるいは世界の出来事から独立した日本固有のものとして扱ってしまっている。われわれは、日本の対外援助政策形成を諸外国との「相互作用」の結果として読み直すことを提案した。
3年間実施した研究の最も大きな成果は、Routledge 社から2012年中に出版される予定の編著 The Rise of Development Donors in Asia である。科研分担者、研究協力者をコアの執筆者として、足りない分野を補強し、合計9名で執筆した本書は日本の被援助経験と、今日のアジア新興ドナーの現状を重ね合わせて議論した初めての著書であり、海外での反響を期待できると自負している。