東京大学 東洋文化研究所 佐藤仁研究室

SATO Jin Lab.

Institute for Advanced Studies on Asia, University of Tokyo

Double Speak

「…権力を握っている間の全体主義政権、また生きている間の全体主義の指導者が、プロパガンダによって人為的につくられたとはいえない本物の人気を享受していたことを忘れてしまうのは、もっと重大な誤りであろう」——ハンナ・アーレント

研究会の趣旨

冷戦中のアジア各地では、いわゆる独裁政権が数多く誕生し、それらの多くは「開発」という側面では高く評価された。インドネシアのスハルト、シンガポールのリークアンユー、フィリピンのマルコスらは、中国の毛沢東、タイのプレームらはその代表である。 

一方で、これら独裁政権の一部は、開発や民主主義、自由などを謳うと同時に、自国民に対する残虐な暴力と弾圧を行ったことでも知られる。ポルポトは200万人以上、スハルトも100万人以上の虐殺を主導したことが明らかになっている。国民をどん底に陥れたカンボジアのポルポトも、米国や中国の支援を受けていたことを忘れてはならない。  

大衆の福祉を促進する開発と、その対極にある暴力や虐殺とは、これら指導者の「言葉」の中でどのように共存しえたのか。そこで本研究は、時代を振り回してきた権力側の“Double Speak”に着目し、開発の眩しさの演出と、それが見えなくしている暴力の側面を、中国、インドネシア、タイの参加国、および、そこに支援をしていた日本と米国の政策言説を素材に、「言っていることとやっていること」のギャップを体系的に考察する。 


第一回打ち合わせ (2022.9.22)

第一回打ち合わせはオンラインで開催された。

冒頭では、佐藤氏は研究会設置の動機づけや本研究会の進み方に関しての全体説明を行った。

その後、メンバーの山口氏、マエムラ氏、パッタジット氏と汪氏はそれぞれの問題関心を共有し、意見を分かち合った。

これからは、どのような具体的な事象に焦点を与え、いかなる分析枠組みを用いて分析するかを課題とし、研究会を継続的に行っていく予定である。

研究会のメンバー

佐藤 仁 (東京大学・東洋文化研究所)

山口 裕子 (北九州市立大学・文学部比較文化学科)

マエムラ ユウ オリバー (東京大学 大学院新領域創成科学研究科 国際協力学専攻)

パッタジット タンシンマンコン (東京大学・東洋文化研究所)

汪 牧耘 (東京大学・東洋文化研究所)