拙著『教えてみた「米国トップ校」』(角川新書、2017年)が、このたびモンゴル語で出版されることになりました。この本では、世界ランキングでも常に上位を占める米国トップ校を内側からみたときに、どのように評価できるか、を特に東京大学とプリンストン大学の比較を通じて検討してみました。米国式の総合的な人物入試は優れているのか、教室は白熱しているのか、大学の国際化とは何か、などをプリンストン大学で5年間教えてみた経験を通じて生き生きと描き出しています。東京大学を中心とする日本のトップ大学の強みを確認し、弱みを改善するための具体的な提言も出してみました。
このたび、この本が東文研のエルデンチロ先生経由で知己を得たモンゴル人で早稲田大学招へい研究員を務めるミャグマル アリウントヤ―さん(高等教育論)の目にとまり、モンゴル語に翻訳されて出版されました。モンゴル語の書籍名の和訳は、『トップ大学は何をもってトップなのか?University of Tokyo & Princeton』(Munkhiin Useg, 2019) です。
アリウントヤーさんからのメッセージ
左側が訳者のアリウントヤーさん
母国のモンゴルではここ数十年、教育の在り方をめぐって、海外のプラックチスを、隣の芝生は青く見えるというように、良いものとして導入するようになりました。その際、モンゴルにあった良し悪しを再認識せずに、海外の良さを表面的に真似てきました。
本著作では、教育の質と研究、教員と学生、改革と国際化とグローバル化、過去と現在と将来、経済と政治、機会と限界、マジョリティーとマイノリティー、収斂化と多様化、といった広範なテーマに関係する議論が豊富で、事例や説明も面白くかつ分かりやすく記述されています。
モンゴルでは、世界トップ大学の夢をみる若者が増えていると言われていますが、モンゴル語版は、そのようなの生徒や親たちのみならず、教育の関係者など、一人でも多くのモンゴル人に考える余地となりますことを願って、取り掛かりました。