東京大学 東洋文化研究所 佐藤仁研究室

SATO Jin Lab.

Institute for Advanced Studies on Asia, University of Tokyo

佐藤研究室で学位取得を希望される皆様

佐藤がかかわっている大学院プログラム佐藤研究室で学位を取得するには、私が協力講座教員として兼務している大学院新領域創成科学研究科国際協力学専攻、総合文化研究科国際社会科学専攻・人間の安全保障プログラム、もしくは公共政策大学院のいずれかに入学していただき、希望指導教員として佐藤を指名していただく必要があります。こうした協力講座との関係は流動的な側面もありますので、その都度、各研究科や専攻の入学試験窓口に確認して、佐藤を指導教員にできるかどうかを調べてください。原則、研究生は採用しておりませんので、入学希望者は修士課程か博士課程に申請をお願いします。

 

大切にしていること

学際的な環境に身をおいた場合には、決まった教科書がない世界ですから、うっかりしていると「いろいろ学んだが、どれも身につかなかった」ということにもなります。入学前の段階で、何をなぜ学びたいのか、という確固とした問題意識をもち、優先順位をはっきりさせることが重要です。

授業/ゼミは問題意識を深めるためのヒントを提供することに力点がおかれており、様々なヒントを自分の問題意識にあわせて収斂させ、修士論文として結実させる作業は一人一人の院生に任されています。その意味で、自分なりの問題意識をもち、戦略的に資源を配置、編成できる人にとって、このゼミは一つの有用な資源になりますが、優先順位が曖昧で、ネタが与えられないと動けない人は困ることになります。

また、理系文系など様々な分野の人がゼミに参加しているため、前提の異なる人にもわかりやすい発表をする工夫が求められ、議論を通じて、経験や知識の異なる学生同士がお互いから学ぶことを奨励しています。

修士課程の段階では、理論的な研究よりも、できるだけ具体的な問題を扱い、自分で一次データを集め、当事者の視点も踏まえて「問題」と格闘することが期待されています。質的であれ、量的であれ、信頼性の高い方法に基づいて、リサーチをしてみることで、他人のリサーチの結果を批判的に読む力も養うことができます。複雑な現象から問題を切り取り、調べ、発信し、その問題について知識のある人やない人と交流できる能力が、大学院で身につけるべき最も重要なことであると私は思っています。

 

研究テーマの選択

研究テーマの選択は、学生の主体性を重んじますが、「フィーリング」が合うかどうかは重要ですので、受験前に佐藤の著書を複数読んでいただくことをお勧めします。たとえば環境分野であれば『反転する環境国家』、援助であれば『開発協力のつくられ方』、開発であれば『野蛮から生存の開発論』を熟読されてください。

~を研究したいが、貴研究室で可能か?」という問い合わせをよくもらいます。修士課程については「あなたができると思えばできる」というのが私の答えです。自分の関心に近い佐藤の著作を読んだうえで、それでも不安であれば研究室訪問、ゼミ訪問をしてください。オンラインでの面談も対応します。

博士課程については、教員と学生はある種の「運命共同体」になりますので、その覚悟が持てるだけ、私の研究歴を把握し、この研究室に身を預けることが正しい選択であるかどうかを慎重に判断してください。

 

入学後の学び

ゼミは各自の「問い」を明確にして、論文として面白く仕上げていくために参加者の総力を結集します。「それ、何が面白いの?」という問いにさらされ続けるうちに、自分でも気づかなかった研究の深みと難しさに気付いていくことでしょう。

 

卒業の進路

佐藤研究室における学位取得者の就職先は実に多様です。詳しくは「学生ページ」をご覧ください。ほとんどの学生が希望する進路に進めていることは、私の誇りとするところです。なお、研究室では特に就職の斡旋などは行っておりません。博士課程修了者は、法政大学、福岡大学、東京大学の教員をはじめ、国内外の政府機関や研究所等で活躍しています。

 

学生に期待すること

佐藤研に集う学生は、出身大学はもちろん、学部時代に学んだ内容、関心のあるテーマについてもかなりの多様性があり、これまでは理科系の学生も多く受け入れてきました。私は「知っている/知らない」という知識はあまり問いません。むしろ、学びに向かう姿勢、学びを共有するエネルギーを問います。どの大学、どの分野、どの国の出身であれ、自分の経験と長所に即して、ゼミにあなたらしいエネルギーを注入してください。そうした意欲がある人を歓迎します。

佐藤研究室で学位取得を希望される皆様(PDF版)